ORIGINAL VIDEO ANIMATION SERIES MOBILE SUIT GUNDAM THE 08th MS TEAM

[Interview] 飯田馬之介監督コメント

 神田監督が亡くなられて、僕がこの作品を引き継いだのは6話からでした。
 指揮官を失って大混乱していた現場で真っ先にしたのは、モビルスーツの描き方に法則を設けることでした。それまで18メートルという数字でしかなかったモビルスーツのスペックを、絵や動きとして実感させるために「空気遠近を強要する」ことで色を淡くし。「人間との対比(8話軍務と理想)」「見なれた街並との対比(10話 震える山前編)」を感じさせる事で大きさを実感させようとし。「重さを出すためにゆっくり動かす(6話熱砂戦線)」等から、当たり前の事ですが「弾丸は撃てば無くなる」「一般人が18メートルのモビルスーツを見ると驚く」など、意外とロボットアニメを作り慣れてくると忘れてしまいがちなことまでさまざまです。「実際に18メートルの物が日常に入り込んで込んで来たらどう見えるだろうか?」その答えを求めてスチールカメラで撮りまくった写真にマジックインキでMSを書き込んでみたりもしました。(画像注、当時の写真は残っていなかっため、デジタルで再現しました)
 今回の5.1ch版では、音に関しても複合的に重なる効果音が聞き分けられるように作り込んであるので、モビルスーツの存在感がより際立ち、巨大なモビルスーツの手前で翻弄されるキャラクター達のドラマが、より強調されています。
 『08小隊』という作品を全話通して見ると、神田監督が担当した前半と、僕の担当した後半ではテイストが違うように感じられると思います。そういう意味では、神田監督のやろうとしていた意志を継いだ形で作品を完成させられなかったことは本当に申し訳ないと思っていますが、僕にはこうした形でしか『08小隊』という作品を完結させることができませんでした。それでも、おそらくは2倍以上になってしまった手間を、スタッフが一丸となって後押ししてくれた結果、まるで劇中でアプサラスを完成させようとするギニアスのように、魂を込めて完成させることができた作品です。音響が変わることでさらなる完成度になっていると思います。
 この機会に一度手にとって見て貰えれば幸いです。

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